先日、久しぶりに元同僚から電話がかかってきました。
「今年度、もうしんどくてね…。学級経営も大変だし、分掌の仕事もあって毎日帰るのが遅いのよ。土日も家で仕事してるし、夏休みまでもつかなぁ…」教員として働いていると、こうした声はよく耳にします。
「もう辞めたい」「限界かも」そんな言葉が、職員室のあちこちでささやかれているのに、不思議と辞める人は少ない。
実際には、多くの教員が「辞めたいと思いながら辞められない」状態にいます。
なぜ教員は辞めたいと思っていても辞められないのか?
1.まとまった休暇が魅力
教員には、夏休みや冬休み、春休みなど、長期休暇があるという点が大きな特徴です。
もちろん、夏休みといっても研修や出張、教材研究、部活動の引率など「完全な休み」とは言えないことも多いですが、それでも一般企業に比べると、年間のまとまった休暇の多さはやはり魅力的です。
「今は大変だけど、夏休みになれば少し楽になるかも」
そう思って日々をなんとか乗り切っている教員も少なくありません。
2.安定した収入と雇用
「定年まで勤めれば2,000万円」という神話のような話は今でも根強くあります。
実際、教員の給料は右肩上がりで昇給していき、ボーナスも安定しています。年功序列型であるため、年を重ねるごとに収入が上がっていく安心感があるのです。
さらに、教員は公務員(あるいは準公務員)として雇用されている場合が多く、よほどのことがなければ解雇される心配がありません。再任用制度もあり、定年後も働ける環境が整っているのも安心材料です。
「転職して、今と同じだけの収入が得られるかどうか不安」
そんな気持ちが、辞めたい気持ちにブレーキをかけているのです。
3.同僚に恵まれている
教員という職業には、真面目で責任感のある人が多い印象です。
職場の人間関係に悩むことはあっても、「この人たちと一緒にがんばりたい」と思えるような仲間がいるからこそ、毎日を踏ん張れる。そんな教員も多いのではないでしょうか。
「辞めたい」と口にしていても、実際には子どもたちや同僚との関わりが支えになっているのです。
行動力と決断力がカギ
それでも、本当に限界を迎えた人、あるいは別の道に強い想いを持っている人は、自分で新しい一歩を踏み出しています。
教職から離れて、別の職業に就いた元教員の中には「勇気を出してよかった」と話す人も多いです。
大切なのは、「辞めたい」という気持ちをごまかさずに、自分自身の声を聞くこと。
そして、無理をしすぎる前に、自分にとって本当に納得のいく働き方を考える時間をもつことだと感じます。
おわりに:辞めない理由を知ることは、自分を知ること
教員という仕事は、本当に多忙で責任も大きい一方で、得られるやりがいや安心感も確かにあります。
「辞めたい」と思いながらも踏みとどまっている自分に、罪悪感を持つ必要はありません。
大切なのは、「辞める」「辞めない」に関わらず、自分がどう生きていきたいかを時々立ち止まって考えること。
もし今あなたが、「もう辞めたい」と思っているなら、まずはその気持ちにやさしく向き合ってみてくださいね。